『異色経営者が語るヒット連発の経営術③小林製薬小林一雅会長』日経BPムック【書評】

血で血を洗う国内市場を主戦場に、徹底した顧客目線で「顕在化していないニーズ」を見出してヒットを連発している四人の経営者+αを紹介する日経ビジネスのムック本。

三人目は「ブルーレット」「アイボン」「のどぬーる」などオリジナリティあふれる商品でヒットを続ける小林製薬・小林一雅会長。大阪の小さな薬問屋を連結売上1,200億の大企業に育てたのは「マーケティング」だった。ここで言うマーケティングには商品開発から人事、ライバルとの競争、M&Aまで多岐にわたる。

商品開発におけるマーケティング

大企業がひしめく業界で存在感を発揮するために行ったのが「ニッチマーケティング」。具体的には、徹底的なユーザーイン(消費者視点)で顧客の潜在的なニーズを把握して、「ブルーレット」のようなライバルが考えつかないような商品をいち早く生み出し、圧倒的なシェアを獲得した。

また、「熱さまシート」「ナイシトール」のように対象のターゲット層に対して機能や効能が伝わるよう商品のネーミングにも徹底してこだわった。実際、同社のホームページを見てみると、蓄膿症予防の「チクナイン」、喉のはれを治す「ハレナース」、しみを防ぐ「ケシミン」など一度聞いたら忘れない分かりやすい商品ラインナップになっている。

人事におけるマーケティング

小林製薬の強みは年間4万件を超える現場から生まれた提案が生み出す卓越した「商品力」にある。それを支えるのが人材育成のための様々な制度だ。例えば、会社に貢献した社員に経営陣が直々にメールする「ホメホメメール」や、全国の現場の不満を徹底的に聞き回る「LA&LA(Looking Around Listening Around)」制度、役職や階層の区分なく自由な意見を交換するための全役職員の「さん付け呼称」などがある。

また、叱る時は自分をなくし、お客様の立場にたって叱ることを鉄則としている。そして、自社の社員の強み、弱みを分析する「人事のマーケティグ」が企業にとって必要不可欠と述べている。

ライバルとの競争におけるマーケティング

ニッチマーケティング戦略で一気にシェアを獲得して成長してきた小林製薬だが、小林会長がベストと考える自社のシェアは6〜7割。残りは参入してきたライバルに残すべきだと述べている。

その理由は、一社が独占してしまうと競争環境が無くなり、切磋琢磨も無くなる。その結果として市場全体が縮小して結果的に自社の商品寿命も短くなってしまうためだ。適切な競争と共存のバランスが大事になるようだ。

ヒット商品を生み出す原動力

「あったらいいなをカタチにする」というコーポレートスローガンを地でいく同社の原動力は、ニッチ市場において常にユーザーイン(消費者視点)の立場で商品開発を行っている点とそれを可能にしている人事育成制度にあると言えるだろう。

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