『異色経営者が語るヒット連発の経営術①エステー鈴木喬会長』日経BPムック【書評】

血で血を洗う国内市場を主戦場に、徹底した顧客目線で「顕在化していないニーズ」を見出してヒットを連発している四人の経営者+αを紹介する日経ビジネスのムック本。

一人目は「消臭力」や「ムシューダ」など独自のニッチ商品で知られるエステー鈴木喬会長。 パブル経済崩壊後の98年、経営難に陥っていたエステーの社長に就任した鈴木氏は独自のやり方で会社を作り変えて「消臭ポット」「消臭力」などのヒット商品を送り出して業績を回復させた。

自らを独裁者と断言する鈴木氏のとった手法は過去のやり方を全て否定することから始まった。

ヒット商品を生み出した鈴木会長の社内改革

①戦場に民主的な経営はいらない。

市場という戦場でライバルと戦争しているのが民間企業。常に戦時下なのに社内の合意形成に時間を空費していてはあっという間にライバルにやられてしまう。役員数を半減し、組織をフラット化して指令がダイレクトに伝わるようにした。

②会議は画期的なアイデアを潰す。

合議制だと最終的に多くの人々の意見を取り入れた折衷案のような無難な商品になってしまうとして開発会議を廃止した。

③市場調査はアテにならない。

「新しいタイプの商品がヒットするかどうかは消費者にも分からない。」という理由で市場調査には頼らず、自身で店頭などに足を運んで動向を知り尽くしてロジカルに考え抜き、「消臭ポット」「消臭力」などのヒット商品を生み出した。

④宗教家のごとく「売れる」と触れ回る。

大きな仕事に挑戦する時、経営者は自信に満ちた宗教指導者のような態度で社員を鼓舞すべきと述べている。しかし、売れなかったら朝令暮改で撤退を決断するのも経営者の重要な仕事と述べている。

鈴木会長直伝のヒットを創る五か条

「消臭ポット」「消臭力」「脱臭炭」「米唐番」など人気商品を生み出した過程で5つのヒットの法則を見出だした。

  1. 品数を絞り込んで経営資源を集中する。
  2. 成熟市場を狙う。商品にイノベーションを加えて投入する。
  3. 消費者の感性に訴える。聞いてわかる、見てわかる、使ってわかるシンプルさ。
  4. ネーミングにこだわる。心に響く商品名が売上を大きく左右する。
  5. 周囲が反対することをやる。反対は革新的である証拠。

また、社長には「道楽者の心意気」が必要とも述べている。その理由は社長が利潤の追求ばかり求めていては存在基盤の弱い会社になってしまうからだ。稼いだお金を世の中のために気持ち良く使えば社員もついてくると持論を述べている。

中堅企業が生き残るために必要なこと

自らを独裁者と断言する刺激的な内容だったが、常に競争にさらされている中堅企業が生き残るためには圧倒的なスピード感と商品の差別化がカギを握るのは明らかなので、鈴木会長の手法は究極的には理にかなっていると言える。また、日頃から自ら現場に足を運んで消費者ニーズや商品動向を探るという地道な作業がヒット商品を生み出す原動力になっているようだ。

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