9月1日のNHK『プロフェッショナル・仕事の流儀』で「ナニワの軍師、再起のテーマパーク マーケター森岡毅」が放映された。数ヶ月前にたまたま同氏の著書を読んでとても勉強になったこともあり、これを機会にまた読み返してみた。
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USJをV字回復させたCMO•森岡氏のアイデアを生み出す思考法「イノベーション•フレームワーク」を紹介。経営資源の限られた中小企業が成長し続けるためのノウハウが惜しみなく散りばめられた一冊。
USJへの転職が決まると、森岡氏は徹底したデータ分析と市場比較により、USJの潜在需要を阻害している誤ったこだわりを洗い出した。それは、USJは「映画だけ」「大人だけ」のテーマパークでなければならない。という、開業以来の不文律だった。この不文律を明確なデータ分析結果を武器に打破し、「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」への変革を図り、来場者をわずか2年で740万人から975万人に30%以上増加させた。
森岡氏によると、マーケティングは「実戦でのみ鍛えられる実践学」であり、優秀なマーケッターがいなければ、企業は差別化できないまま単なる価格競争に陥って、終いには業界そのものが廃れていってしまうこともあると述べている。また、マーケターは「消費者目線」が基本に無いと、アイデアも戦略も判断もすべて焦点がズレてしまうと警鐘を鳴らしている。
さらに、以下に述べる戦略的な発想方法(イノベーション•フレームワーク)があれば、執念を苗床にして苦境を打開するアイデアの神様は必ず降りてくると解説。
以下、森岡氏が活用している、強いアイデアを生み出す確率を高める「イノベーション•フレームワーク」を簡単にまとめてみた。
①フレームワーク
3つのフレームワークを用いて「何を必死に考えれば良いか」を先に見出だし、最小の努力で最大の効果をあげる。
戦略的フレームワーク
目的→戦略(必要条件)→戦術(アイデアそのもの)の順に考えて、選択肢を合理的に絞る。
数学的フレームワーク
いわゆる「ロジック」のこと。原則は足して100になる仮説を立てる。また、原因を明確にしない限り、解決策は見つからない。
マーケティングフレームワーク
人の頭の中に強力なブランドを構築していくための勝ちパターン。
勝つために何が必要条件か、その達成のために何を必死に考えるべきかを明確にすることで良いアイデアをひらめく確率が向上する。
②リアプライ
成功事例を参考にすることで圧倒的なスピードと成功確率向上を同時に得られる。
③ストック
情報の質的・量的な蓄積を蓄えて、アイデアや解決策の引き出しを増やす。
④コミットメント
やり抜く覚悟や決意。淡白な人に「確率の神様」は微笑まない。要はどれだけ必死に考え続けることができるかどうか。
また、どんなに優れた戦略も革新的なアイデアも戦術の詰め(エクセキューション)が強くないとビジネスとしては成功には至らない。
さらに、中小企業や業界2位以下の会社が生き残るためには、一番大事なところに資源を集中し、戦略とアイデアで攻め続けて勝ち続けるしかないと述べている。
『9回2死ランナーなしの状態から、ヒットを打ち続けること』を可能にした森岡氏の「イノベーション・フレームワーク」は僅かながらもマーケティングに関わる身として非常に参考になった。その言葉どおり、「実戦」で鍛えていこうと思った。
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