『あの夏、サバ缶はなぜ売れたのか?』ビッグデータ活用の基本が学べる一冊!大木真吾著【書評】


タイトルだけ見ると新手のダイエット法のようですが(笑)、中身はれっきとしたビッグデータを活用したマーケティングの解説書。

著者によると、この本のタイトルも事前のデータ分析によって導き出したというから興味深い。具体的には、大型書店の店頭に足を運んで売れ筋ビジネス・経済書の表紙の色やタイトル、文字組みの向きなどを調査・定量データ化して、売れる傾向を見出して候補を絞り込み、その中から実際にABテストを行って決めたという。

データに語らせるためには

しかし、単純にデータ分析を行えば良いというわけではなく、そのプロセスにおいて「データを右脳で解釈すること」、言いかえると「顧客を見つける力(マーケティング思考)」をデータ分析に融合させることではじめてビジネス成果に結びつけることができるという。
ここでデータ分析の流れをざっくり説明すると、

①まずその分析で導き出したいゴールを達成するために考えられる仮説を出来るだけ具体的に挙げる。
②それらを立証するためのデータを整備・分析する。
③分析で見出された差に注目して「顧客化の観点」でその差を解釈する。

となる。ケーススタディーとして、「サバ缶が売れた理由は?」「シュークリームの売上を向上させるには?」「ネット会員を増やすには?」「居酒屋の客単価を上げるには?」など具体例を上記の流れに沿って紹介されているので参考になりそう。

ビジネス成果につなげるためには

そして、この「差の解釈」に基づいてビジネス成果に結びつける具体的な施策を立案し、PDCAを回していくわけだが、その際には必ずポイントとなるKPI(ビッグKPI)を設定して、進捗状況を常に把握していかなければ、折角のデータ分析も宝の持ち腐れになりかねない。まさに「PDCAなくして、データ分析の意味はない」と言えるようだ。

そして、施策立案の参考になるのが著者の経験で導き出した「顧客化力10の発見」だ。具体的には割愛するが、顧客の構造化・顧客の購買パターン・ロイヤリティー向上のカギなど、データ分析の精度をより効果的にするKPIになるのは間違いない。

「ビッグデータ」と言うと大掛かりで中小規模の企業にはとっつきにくいイメージもあるが、本書を読むと、「課題抽出」、「仮説に基づくデータ分析と施策立案」、「KPIによるPDCA管理」さえ理解していればある程度簡易的な分析は自分たちでも出来るという印象を受けた。今後の自社マーケティグにも早速応用してみたいと思う。